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全館空調は良いの?全館空調のメリット・デメリット!

全館空調は、住居内の天井や壁にダクトを張り巡らせて、家の中のどこにいても室温を同じに保つことができるシステムです。 室温の管理をベースに、室内の空気を常に入れ替える換気機能や、湿度を一定に保つ除湿(加湿)機能も備えたものが主流となっています。 現代の家の空調は、ルームエアコンが主流となっていて、それぞれの部屋に1台から複数台設置するのが一般的です。そして、エアコンの分だけ室外機が必要となっていました。 全館空調は基本的に1台の機械で家全体の空調を管理するので、室外機も何台も必要ありません。

全館空調のシステム

冬の循環

天井裏エアコンで温めた空気を床下に持って行き床を温めながら床から吹き出します。暖かな空気は上に上がって行くので下から出すのが家全体を温めてくれるので効果的です。 全館空調 冬   出典:https://passivaircon.com/

夏の循環

天井裏エアコンで冷やした空気を天井からの吹き出し口から出して家全体を冷やします。冷たい空気は重いので、下に下がって来ますので天井から出す事が効率的です。   全館空調 出典:https://passivaircon.com/

天井裏エアコン・分岐配管

天井裏エアコンとそれを分岐する機材と配管です。配管は断熱効果がある断熱ダクトを使用しています。 天井分岐

壁内配管

屋根裏で温めた空気を床下まで運ぶ配管です。この配管も断熱ダクトを使用して温めた空気を床下まで運びます。 壁内配管

天井吹出し口

天井からの吹き出し口のです。ここから冷えた空気を出して部屋を冷やします。 天井吹出し口

床からの吹出し口

床から暖かな空気を出して、家全体を温めていきます。床下全体も温めるので1階の床全体もほんわかあたたかです。 床吹出し口

全館空調のメリット

全館空調のメリットはどのようなものがあるのでしょうか。 メリット

家じゅうがどこでも快適

急激な温度変化が体に悪い事は知られていますが、実は家の中でもそのような温度変化に直面することがあります。 その中でも一番温度変化を感じやすいのが、冬場の入浴です。冬場は、温かい居室から寒い脱衣所に行く事で急激に血圧が上昇し、そして寒い浴室に入って更に血圧が上昇、熱いお湯に浸かる事で血管が広がり血圧低下を起こします。 これがいわゆるヒートショックと言われるもので、体にとって大きな温度差を受ける事によって血圧が大きく変化して起こる症状です。そして、これが原因で死亡してしまうケースが日本は世界一多いと言われています。 全館空調にする事によって、今まで寒いと感じていた洗面所や廊下と居室がほぼ同じ温度になる為、快適に過ごす事ができます。その結果、家族みんなが健康的に暮らせる家になるのです。

吹き抜けなどをつくっても快適

通常、吹き抜けのある部屋は暖かい空気が上がってしまい、床付近は冷えます。全館空調なら吹き抜けの天井から床まで温度がほぼ均一なため、床近くの温度が冷えることがなく快適に過ごせるのです。 全館空調にすると家全体の気温が一定になります。その結果、間取りのバリエーションが増えるメリットがあります。 現代は、広いLDKを設ける事が多いですが、スペースが広くなると空調の状態があまり良く無く、場合によっては複数台のエアコンの設置が必要になります。 全館空調であれば、建物全体をコントロール出来るので、広いLDKであっても全く問題ありません。

エアコンが部屋にないので見た目がいい

全館空調はメーカーによって様々ですが、吹き出し口が各居室に設置されるだけで、一般的な壁付けエアコンが無くなり見た目がすっきりします。 エアコンが無いだけで室内の空間は想像以上に広く感じることができます。 また、一般的な戸建ての場合、エアコンは3~5台くらい設置するのが平均的です。建物外にエアコン室外機が多数並んでしまい、見た目が悪いだけでなく場所も取られてしまいます。 最近の全館空調は室外機も小型化されていますので、外もすっきりします。 最近では簡易的な棚や収納をDIYで作る人が増えていますが、全館空調にすれば、自分好みの部屋造りがより楽しめる様になりますよ。

空気清浄機の機能を同時に導入できる

全館空調には空気をキレイにする機能を施されているものが多いです。 一般的な24時間換気だと外気が直接入ってきてしまうので、排気ガス、花粉やPM2.5などがそのまま家の中に入ってきます。 しかし、全館空調は、高性能フィルターを通して外気を室内に給気しているため、花粉やPM2.5などの有害物質を除去した空気を取り入れることが可能なのです。 別に空気清浄機を買う場合には、設置するスペースも必要になってきます。その点、全館空調ならば最初から機能として付いているので、置くスペースも必要もありませんね。 花粉症の方にはかなり有益な機能と言えます。

全館空調のデメリット

全館空調のデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。 デメリット

全館空調によっては初期費用が高額

全館空調は大型の機械を建物の中に設置し、配管をそれぞれの部屋につないで風を送ります。そして、配管は天井や壁の中に配置されるので、設置費用が非常に高額になります。 機械の価格だけでなく、設置の工事も規模が大きくなってしまうことが理由として挙げられます。ルームエアコンの場合には、壁に取り付けるだけなのに対し、全館空調の場合には、壁の中や天井に配管を入れることが必要になります。工事の規模が大きくなってしまうからです。 仮に部屋数が5つある新築の家に、15万円のエアコンを各部屋に取り付けると75万円となります。全館空調はその約3倍の約200万円になってしまいますので、そう考えると本当に高いですよね。

後付けの場合には大規模リフォームが必要

全館空調は大型の機械を設置し、配管を壁や天井などに設置するシステムなので、新築には向いていますが、中古住宅への後付けをするとなると、大規模なリフォームが必要になります。 特に高気密高断熱には、お金がかかります。 なお、リフォームをされる場合は、機械の設置スペースの確保や配管の設置などがあります。 ただし、壁の中にダクトを通さなければならない為、一旦建物をスケルトン化しなければならない場合もあります。

メンテナンスにコストが掛かる

一般的によく売れている電化製品ではないので、メンテナンスコストも高いです。また、故障すれば、その修理代が高いです。 業者によるメンテナンスが必要な事や、パーツの交換を行わないといけないため費用が掛かってしまうのです。 普及している製品というわけではないので簡単に修理できるというわけではなく、本体金額も高額なので、それに応じてメンテナンスコストも高くつくわけです。

故障すると、家全体の冷暖房がストップする

全館空調は、たったひとつの機器で家全体をまるごと空調しています。 当然ですが、その機器が故障してしまうと、空調が止まってしまいます。 各部屋のルームエアコンを設置する場合には、その部屋のエアコンを修理すれば済むのですが、全館空調の場合はそうはいきません。 年末年始やお盆休みなど全館空調の業者が長期連休を取っていると、寒くても暑くても空調なしで過ごさなければなりません。 これではかなり生活に支障が出てしまいますね。そのためにも、定期的なメンテナンスが必要になります。

各部屋毎の調整が苦手

全館空調は全室で快適な温度にする仕組みですから、暑がりの人・寒がりの人が一緒の場合、個別に調整したいというニーズには答えられません。 個別で温度調整できないのです。 あとちょっと涼しくしたい、暑くしたい、という微妙なところは別の手段に頼る他ありません。 最近では、部屋ごとに温度を変えられる全館空調も登場して来ています。

電気代(ランニングコスト)が高い

電気代が高くなるのも全館空調のデメリットのひとつです。 部屋ごとにエアコンをつけて冷暖房する「個別空調」の場合は、人のいない部屋はエアコンをオフにしておくことができます。 全館空調はその部屋に人がいてもいなくても、空調がつきっぱなしということになります。つまり、無駄が多くなるということです。 全館空調は24時間家中を冷暖房しているということも光熱費を高くしている原因となります。 最近では、省エネ製品が主流になってきていますので24時間稼働させても、電気代が¥3,000程度のものが多いです。

まとめ

まとめ 全館空調は、24時間どこでも快適な室温で過ごせるため、ヒートショックの予防になり健康的に過ごせるシステムです。 お年寄りがいるご家庭では、冬場のヒートショックでの事故の心配や、夏場の熱中症の心配がありません。 家の中で猫ちゃんやワンちゃんなどを飼っている方は、夏場は熱中症に気をつかう事無く安心してお留守番をさせることが出来ますね。 一方でランニングコストがかかるとの心配もありますが、最近では全館空調システムの開発が盛んになっているため、従来の空調にかかる電気代とそん色ないほどにまで下げることが可能となっています。 さらには太陽光発電システムや家庭用燃料電池どエネルギーを創るシステムを取り入れることで光熱費ゼロは十分実現可能です。 大切なことは空調機器の性質だけでなく、家に高い気密性と断熱性があるかどうかです。 今ではまだまだ数は少ないですが、数年後には一戸建て住宅に全館空調システムを導入することが当たり前の世の中が来るかもしれませんね。
気密性が高い家だと、隙間がないため室内の暖気や冷気を逃がしません。断熱性が高い家であれば、外の気温の影響を受けにくくなります。 高気密高断熱の住宅ではないと、全館空調のメリットが無くなってしまいます。