ZEHとは?
省エネ性の高い注文住宅を検討している方で、ZEH(ゼッチ)に興味を持っている方は多いのではないでしょうか。
ZEHとは、「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」を省略した言葉で、読み方は「ゼッチ」です。
「エネルギー収支をゼロ以下にする家」という意味が込められており、生活で必要となるエネルギーと、自らが生み出すエネルギーが同程度、あるいは生み出すエネルギーのほうが多くなる住宅を指します。
「断熱」「省エネ」「創エネ(発電)」といった3要素がZEHの主な特徴であり、具体的には、生活で必要となるエネルギー(消費電力)を高断熱構造の採用や省エネルギー設備の導入によって減らし、太陽光発電などによって電力創出を行います。
建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)
建築物省エネルギー性能表示制度とは、新築・既存の別を問わず、全ての建築物を対象とした省エネルギー性能等に関する評価・表示を行う第三者認証制度で、建物の省エネ性能、資産価値を示すひとつの指標となっています。
Building-Housing Energy-efficiency Labeling Systemの頭文字を取って、略称「BELS(ベルス)」といいます。
平成29年4月からは、ZEHの基準を満たした住宅には「ZEHマーク」を表示することができるようになりました
ZEHの家を建築するためのメリット・デメリット
ZEHを建築するには、さまざまなメリットがあります。
しかしデメリットもあるため、両面を理解したうえでZEHにするかどうかを決めましょう。
以下より、それぞれ詳しく解説します。
メリット
メリットは下記の通りです。
- 快適性
- 災害対策
- 経済性
- 健康効果
快適性
断熱性能が高い住宅は、夏は涼しく、冬は暖かい!
断熱性能が高い住宅は、室内温度が外気温に影響されにくくなるので、断熱性能が低い住宅に比べて夏は涼しく、冬は暖かくなります。また、部屋ごとの温度差が少なく、快適な住宅になります。
災害対策
停電時でも太陽光発電等を備えていれば、昼間の電気を確保できる!
停電時でも太陽光発電等を備えていれば、昼間の電気を確保できます。
さらに、蓄電設備も備えていれば、昼間だけでなく、夜間の電気を確保することができます。
経済性
省エネ、創エネにより、光熱費を抑えることができる!
省エネにより、電気やガスの使用量を抑え、創エネにより、創った電気等を使用することで光熱費を抑えることができます。
また、余剰電力がある場合には、売電をして収入を得ることもできます。
健康効果
断熱性能が高い住宅は、健康にも良い!
断熱性能が高い住宅は、部屋ごとの温度差が少ないため、夏の熱中症対策、冬のヒートショック対策に効果があります。
また、結露が生じにくくなり、カビやダニの発生を抑えてアレルギーの発生を抑制する効果もあります。
デメリット
デメリットは下記の通りです。
- デザインや間取りが制限される
- 太陽光発電は定期的なメンテナンスが必要
- 発電量は地域・天候により変化する
ZEHに対応していないハウスメーカーもある
デザインや間取りが制限される
ZEHを建てる場合、思い描いていたような外観デザインや間取りにならない可能性があります。
ZEHでは、一般的な住宅よりも多くの設備を設置する必要があり、太陽光発電を十分に活用するためには屋根の角度にも制限ができます。
ZEHの建築事例から好みのデザインや間取りを集めておき、建築プランを立てる際に建築業者に見せればオーナ側のこだわりが伝わりやすく、制限がある中でも理想に近いプランを提案してくれるはずです。
太陽光発電は定期的なメンテナンスが必要
創エネの観点から、ZEHには太陽光発電システムを取り入れるケースがほとんどなので、太陽光発電システムにはメンテナンスが必要です。
日々のメンテナンスはもちろん、定期点検が必要なケースもあり、費用は1回あたり10万円以上かかることもありますので承知をしておいた方が良いでしょう。
ただし、メーカーによっては10~15年の無料点検保証を付けている場合もあるため、太陽光発電システムのメーカーを選ぶ際には保証面にも着目するとよいでしょう。
発電量は地域・天候により変化する
太陽光発電システムの発電量は、住む地域や天候によって変化することにも注意しましょう。
例えば、日射量が多い土地や気温の安定した地域であれば、ある程度の発電量が見込めますが、高い木や建物が近辺にあり日陰が多い土地や、一定の気温以上の日が多い地域では発電量が低下します。
ZEHを建てる土地を選ぶ際には、その地域の気候や現在の近隣状況だけでなく、将来的に近辺に高い建築物は建てられないかまで確認できるとよいでしょう。
ZEHに対応していないハウスメーカーもある
ZEHに対応していないハウスメーカーや工務店がある点にも注意が必要です。
希望する会社で住宅を建てられないこともあるでしょう。
また、会社自体はZEH住宅に対応していても、担当者がZEHに詳しくなく、補助金制度の申請手続きに時間がかかってしまうこともあります。
2025年度から住宅の省エネ基準クリアは必須? ZEH基準への引き上げも!
2025年までには、すべての新築住宅・小規模住宅を対象に「省エネ基準の適合」が義務化されることが決まりました。
これは、地球温暖化が深刻化したことにより、2020年10月、政府が2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル宣言」を行ったことが背景にあります。
2025年度以降、省エネ基準に適合しない住宅は補助金などの取得支援策の対象からは外され、原則としては建てられないということになるでしょう。
2030年からは、省エネ基準に適合しない住宅は建築が出来なるかも知れません。
まとめ
ZEHとは「エネルギー収支をゼロ以下にする家」のことで、生活で必要となるエネルギーと同程度以上のエネルギーを自らが生み出す住宅を指しています。
ZEHの3要素には「高断熱」「省エネ」「創エネ」があります。
ZEHには経済産業省や環境省などから補助金が交付されるため、うまく活用して高性能で快適な家をお得に手に入れましょう。
今すぐに家を建てる予定がないという方も、家づくりに関する情報収集をして「未来の当たり前」を検討されることをおすすめします。